●地権者・共有地権者総会資料

■土地収用法について(抜粋)

第1 土地収用法の目的とアウトライン
1.目的

法1条→公共事業のために土地取得が必要となることがあるが,その場合にも任
意買収が原則。しかし,公共の事業に必要な土地等を同意がない限り絶対取得で
きないのは不都合。そこで,「私有財産制の保障」を尊重しつつ,「公共の福祉」
を実現できるように,「正当な保障」のもとに土地所有権等の収用を認めた。

2.アウトライン(極端に単純化すれば)
通常は任意買収等の交渉をした上,収用手続に入る。

収用手続
@事業認定(起業者の申請→大臣,知事の事業認足)
                   ↓
A裁  決(起業者の申請→収用委員会の裁決=権利取得,明渡裁決)
B補  償

第2 総則的部分
1.土地収用手続に現れる当事者(法8条)
   ★土地収用法参照
(1)起 業 者 土地,権利等の収用を必要とする公益事業を行う者
  →民間企業でも可。
(2)土地所有者 収用にかかる土地の所有者
(3)関 係 人  土地所有者以外の権利を有するもの
  →土地についての賃借権,抵当権を有するもの
  →土地上の建物の所有者
  ※なお,準関係人→土地についての仮処分をしたものなど,補償対象となる権利者ではな
    いが損失補償の決定により権利を害されるおそれ
のあるもの。(法43条2項)
  ※以下,土地所有者と関係人を,単に土地所有者ということがある。

3.土地収用ができる事業(法3条等)  ★土地収用法参照

@「企共の利益」になる事業であるが,限定列挙。→道路,河川,鉄道,空港など
A他の法令に基づく収用などに本法が準用される場合あり(都市計画法など)

4.収用できる対象(法2条,6条,7条)  ★土地収用法参照
 土地,土地上の立木や建物などの土地の定着物など

第4 事業の認定(法15条の14以下)  ★土地収用法参照
1.意義

 事業認定は,「事業の公共性」その他土地を収用するだけの理由がある事業かどうかを判断
 するものである→事業の公共性は大前提だが,それさえあれば「土地」を「収
用」する必要が
 あるとは限らない。


2.事業の事前説明会の開催(法15条の14)  ★土地収用法参照
起業者は、事業認定に先立ち説明会の開催等により利害関係人に事業の目的・内容を説明する。
  →「利害関係人」=道路新設により騒音など環境上の影響が及ぶもの等。


4.事業認定申請書(法18条)  ★土地収用法参照
 起業者が事業認定申請する場合に提出。
  →事業の種類,起業地,事業認定を申請する理由などを記載し,添付書類として事業計画書,
    説明会等の実施状況などを添える


6.利害関係人の意見書の提出(法25条)  ★土地収用法参照
 事業認定についての利害関係人は、縦覧期間内に都道府県知事に意見書を提出できる。

7.事業認定の要件(法20条1項)  ★土地収用法参照
1)事業が法3条各号に掲げるものに関すること
2)起業者に,事業遂行の十分な意思と能力がある
3)事業計画が土地の適正かつ合理的な使用に寄与
 (4) 土地収用の公益上の必要

8.公聴会
 平成13年改正より「義務化」。公益性判断における複雑な利益考量や,住民参加の要請に応
 えるため広く意見を聴取して事業認定判断に供し,その信頼性を高め
る目的。
 @事業認定についての利害関係人から縦覧期間内(法24条2項)に請求があったとき
 Aその他必要があるときに開催される。

9.事業認定の告示(法26条)  ★土地収用法参照
 事業認定がなされると,遅滞なく起業者に文書で通知され,事業の種類,起業地事業認定をした
 理由等が告示される。→事業認定は告示の日から効力を生ずる。


第5 収用の手続
1.調書の作成(法36条)
  ★土地収用法参照
1)事業認定の告示後,起業者は「土地調書」「物件調書」を作成する。
  →調書への記載事項(法37条)
   土地の所在,所有者の氏名,収用しようとする土地の面積等。
2)起業者は,土地調書,物権調書に署名押印し,土地所有者・関係人に立ち会わせて、署名押印
 させる。

(3)土地所有者等は調書の記載に異議があるときはその内容を調書に附記して署名押印することが
 できる。

4)土地所有者等のうち、署名押印を拒んだものなどがある場合には、起業者は、市町村長(市町村
 の吏員が代行できる)の立ち会い、署名捺印を求める。

2.調書作成手続の特例(法36条の2)  ★土地収用法参照
「一筆の土地」の@所有者・関係人が100人以上かつ,A1人当たりの保証金が1万円以下と見込ま
れる場合には個別の署名捺印を省略できる。

 →起業者は,市町村長に調書を添えた申出書を提出する。市町村長は,起業者の氏名等を広告し,
   1ケ月調書を公衆の縦覧に供する。起業者は,土地所有者等に
広告があった旨を通告する。調書
   の記載に異議があるときは,土地所有者等は縦
覧期間内に、起業者に異議申出書を提出できる。

3.調書の効力(法38条)  ★土地収用法参照
 起業者及び土地所有者等は調書に異議を附記し,又は起業者に異議申立書が出された場合を除き,
 調書の記載事項の真否につき異議をのべることができない。


第6 裁決手続
 →土地収用委員会に補償額等を決定してもらう手続。
1.収用の裁決の申請(法39条,40条)  ★土地収用法参照
  起業者は,事業認定の告示後1年内に限り収用委員会に収用裁決の申請ができる。
 →裁決申請は裁決申請書により行い,申請書には,土地の所在,地目,土地所有者等の氏名等,損失
補償の内訳などを記載する。

2.裁決申請書の送付,縦覧(法42条)  ★土地収用法参照
 収用委員会は,市町村長に裁決申請書の写しを送付し,土地所有者等に裁決の申請があったことを通
 知する。そして,市町村長は広告をし,裁決申請書を2週間
公衆の縦覧に供する。

3.土地所有者等の意見書の提出(法43条)  ★土地収用法参照
 土地所有者等は裁決申請書の縦覧期間内に、収用委員会に意見書(収用手続きの違法性を指摘したり、
 単に収用反対というものでも良い。)を提出できる。ただし、意見
書には事業認定に対する不服など、収用
委員会の審理に関係がないものは記載できな
い。

4.裁決手続開始の決定及び裁決手続開始の登記の嘱託(法45条の2)  ★土地収用法参照
 収用は裁決申請書の縦覧期間後,裁決手続の開始を決定して広告し,かつ登記所に裁決手続開始の登
 記を嘱託する。 補償金の2重払防止のため、土地所有者を確定し、
かつ固定するため。

5.裁決手続開始の登記の効果(法45条の3)  ★土地収用法参照
@登記後における権利の承継等は,相続による一般承純などの場合を除き,起業者に対抗できない。
A登記前には,損失補償請求権の譲渡・差押えなどは出来ない。

6.収用委員会による審理手続(土地所有者等に関係の深そうなものだけを説明する)
1)収用委員会は知事の所轄のもとにある合議制の行政機関であるが,独立して任務を行うものとされる
(法51条,52条)
  ★土地収用法参照
2)審理手続の開始(法46条)
 収用委員会は,裁決申請書等の縦覧期間経過後,審理手続を開始し,起業者,土地所有者等に審理の
 期日場所を通知する。

3)審理の公開,意見陳述

10.不服の申立
1)事業認定に対する不服申立→行政不服審査法の一般原則に従い知事の処分に対する国交大臣への
 審査請求,又は国交大臣の処分に対する異議申し立てができる(同
法5条、6条)が、申立期間は告示の
 日から30日以内と短い(法130条)。
  ★土地収用法参照
2)収用委員会の裁決→基本的には国交大臣に対する審査請求ができるが,損失の補償に関するものは,
 訴訟によるほかない(法132条。なお,出訴期間の制限につ
き法133条。同条に付き,cf行政事件訴訟
 法14条損失補償に関する訴訟提起
は,事業の進行・土地の収用を停止しない(法134条。これは,行訴
 法25条2項以下の執行停止も認めない趣旨を含む。)  

参考文献

(かなり恣意的で不十分なもの。なお,平成13年改正をフォローしている文献はそう多くない。)
@用地買収と補償第4版(小高剛・有斐閣)→かなり易しく,かつ分量も少ないが,補償に相当傾斜している。
A土地収用法(小高剛・第一法規)→やや古いが,数少ない中型かつ定評ある注釈書
B逐条解説土地収用法 第2次改訂版(小澤道一・ぎょうせい)極めて新しくかつ詳細な注釈書
C土地計画・区画整理・収用の法律相談第4版(有斐閣)→易しく,それなりに詳しい解説書。新しい方では
 あるが,平成13年改正はフォローしていない。

DQアンドA土地収用法(完全施行版)(ぎょうせい)→専ら,平成13年改正を軸とする解説書。役所が絡ん
 でいる易しくて無難な本。

E要説 不動産に関する行政法規(学陽書房)→不動産鑑定士試験向けのテキストだが,わずかなページ
 数で土地収用法に触れている。堅実だがおもしろくはない。